『竜とそばかすの姫』を観た
観てきました。
パンフレット
いや〜〜〜〜〜本当にすべてがよく出来てたし、なにより面白かった!!!!
『バケモノの子』『未来のミライ』と個人的にはあまり響かなかったな……という作品が続いていたんですが、今回のはズバ抜けて凄い。
なんならスタジオ地図の作品内でも上位に食い込むほどです。
この映画の下敷きにもなっている『美女と野獣』のようにどこかミュージカル映画のようでありつつも、表現はどれも凄くフレッシュなもので、また細田守監督作品らしさもしっかりとあり、と「これは細田守さんの新境地が開かれたのでは……??」とすら思いました。
そんな『竜とそばかすの姫』について、ぽつぽつと書いていきたいと思います!
インターネットをテーマにしている……と聞くと、同監督作品である『サマーウォーズ』を重ねずにはいられないのですが、その想いは数分で消し飛ばされました。
冒頭でもう”超えようとしている”んですよね。
本作品のテーマ曲『U』をバックにした『サマーウォーズ』を遥かに凌駕する力強くリッチなCGアニメーション。
それは「真正面からサマーウォーズと対峙する」という覚悟の表れのようであり、その時点で一気にガツンとやられました。痺れる。
もうそこからはお話の力でグングン惹き込まれていって………。
先程も挙げましたが、その『U』に加えて、サウンド面でもこれまでの作品のどれにもなかったエッジの立ったものになっており、そういった点からも「これまでとは一味違うぜ」というメッセージを感じたんですよね………。*1
メインテーマをmillennium paradeが担当する細田守監督作品、その字面だけで凄い。
個人的に受けたその覚悟の通り、間違いなくそれらを圧倒する傑作に仕上がっている!!!と僕は確信しました。
何度も言いますが本当にいい映画だった………。
以下観た人向けに少し感想書きます。(ネタバレがあります)
主人公のすずが「U」を通して過去のトラウマを払拭し、成長していく……という大筋だったわけですが、その成長の仕方がドラマチックで、しかし説得力もあり、また観ている人の心にも光を照らしてくれるようなものになっていて、お話として凄く完成度が高いな……と感じました。
細田守監督作品の画作りは人の生々しさを描く上で強いな、と思っていたんですが、今回それがすごく良く作用していましたね。
現実世界で生々しく”人”であるすずを描きつつ、その内面にもつ優しさ、夢を体現した華やかなベルの対比がお話の上で抜群に効いていました。
そして、そのギャップが埋められていく展開が本作品の魅力の核なんです。
終盤、すずが生身のまま「U」で歌を披露したあの瞬間、「ベル」と自分が地続きのものになれたのです。
「U」で発現した「もうひとりの自分」は間違いなく自分であるし、そして同時に「お母さんが死んだのは、自分が大事ではないから」という思い込みも払拭されるあの展開は凄く美いな………と思いました。
その成長を経て自分を信じられるようになったすずが、現実世界で虐待されている子供を助けに行くシーンもまた良いんですよね……。
あの遠い距離を経てがむしゃらに助けに行くのも、その道中でもう一度正面から向き合えた父親から「お母さんに育てられていい子に育った」と言われるのも。
「お母さんに育てられて」ってセリフ良すぎない……?????
自分の中だけでなく、他者のまなざしからもお母さんの愛を実感できた瞬間というか。
そしてその愛は自分の中にたしかに残っているという事実も含めて本当に良いな……と思いました。
個人的にダントツで好きだった演出が、虐待されていた子供の父から受けた頬の傷の描写です………。
あの傷、Asの化粧が現実の肉体に表出した……という演出だと思うんですが、それによってすずは勇気と自信ある「ベル」でもあるんだというのを力強く証明しているの、本当に巧みすぎる…………。
本作品は、すごく人間くさくて優しいすず自身の魅力、そのすずが勇気を振り絞る姿に惹き込まれる映画でした。
暗くうつむきがちだった「すず」は「U」を通じて自分をやり直せた。
そう、人生は”もう一度やり直せる”し、SNSで評価されているあなたは間違いなく”あなた”なんだと肯定してくれている、そんな映画なんです。*2
明るいインターネットについて描きたいとインタビューで語られていましたが、そのメッセージは視聴者に確かに届くはずだと、そう強く思います。
僕はこの映画で凄く勇気づけられました。
細田守さん、スタジオ地図のみなさん、素晴らしい作品をありがとうございました!!!!
来年の作品も本当に楽しみです……!!!!